壁に耳あり障子に目あり

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中田は、昼間に妻と一緒にデパートに行った。突然大腸からの急げという悲鳴に操られ、デパート内のトイレに向かった。予約なんか効かない場所だし、早いもの勝ちなので、とにかく品格は一旦誰かに預けておいて、早歩きでトイレに無事着いた。さすがに世の中は甘くない。。競争は激しくて、中田より先に占領していた群がいた。。中田は、同病相憐れむという気持ちで、彼らを急かさず他の選択肢を選ぶことにした。。近くに赤ちゃんマークが書いてある広めのトイレが見えた瞬間、そのドアを開いた。。”お~トイレのスイートルーム”。。空いてた。ラッキーだった。。。
大腸様の怒りを抑えながら、スマホも見れる、いわばマルチタスクが出来る確実なシチュエーションであり、その瞬間を満喫した。。そのひと時が飽きたところで、そのスイートルームから出ることにし、ドアを開けた。。。外には、
”へ。。。お前の為にどんだけ待っていたのかわかるかい!”との顔やそれにふさわしい目つきを持った、睨み爆発寸前の若い奥さんがベビーカーをこちらに向かわせながら、えらい目線から鋭いレーザービームを発射していた。。

スイートルームを満喫する余裕のあった人間の気持ちが、一瞬、えらい罪を犯した人間の気持ちに変わった。。
とにかくその怖い目つきに洗脳されないように、目をそらしながら、小さな声で、”すみません。”を残しながら、逃げるようにした。。さすがにデパート内なので、まだ買い物も残っていることから、その若い奥さんと再会することにも対策を打たないといけないかなと思った。。とりあえず、中田は再会しても先ほどの犯人だと思われないように、犯行現場で着ていた上着を脱いだ。。。幸せな人生を過ごす為には、基本を守るとの本質をまた実感した出来事であった。。

デパート内では無事に買い物が終わり、夜は、中田一人で前から約束していた集まりに参加した。。
先輩や後輩みんなで久々にがきのような一人ひとりになって盛り上がった。。やはり、男だけの集まりだからなのか、あちこちから下ネタが炸裂した。。お店のなかでは中田グループだけじゃなく結構大勢の人がいたこともあり、この下ネタ祭りの勢いを落ち着かせる為に中田は一言言った。。”やばいよ。。隣の席で聞こえるからな。。”。。。

それを聞いていた後輩からも答えた。”先輩~大丈夫っすよ。。皆自分のことに夢中でここに耳を傾ける人なんていませんよ。。”。。

確かにそうだけど。。。。

その瞬間、後輩の表情が突然変わった。それから小さな声でささやいた。”やばいっす。。〇〇の奥さんが隣の席にいますね。。。。あっち見ないようにしてください。。まじやばいっす。。”

〇〇は、中田の後輩でもあった。。

中田は気にはしても、こんな大勢の人が下ネタを喋っているなかで、中田一人だけ標的になることはないだろうと思いながら、〇〇の奥さんのほうをチラッと見てみた。。。

なんか、そこには、とてもとても、なじみのある風景があった。。。。。中田の息が一瞬止まった。。

この女性の得意技は、レーザービームだけでなかった。。瞬間移動まで出来るのかい。。

昼間の犯行現場で浴びたそのレーザービームが毒針に変形され、中田の品格に確実に刺された。。

投稿者:

5tomo

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